D.連休中は女子みたく。


連休休み2日目--日--続


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わかんねぇ、未だにわかんねぇよ。
俺は目の前で笑いながら柚木としゃべるくすけんをじーっと見ていた。

「亮ちゃん」
「ん?」
「顔怖い」
「え゛っ」

やべ、俺顔に出てたか!?
隠れるようにこそこそと、急いでと口角をあげてにこやかに笑う練習をする。

----スッ

「不自然」
「は.......」

その言葉と同時に目の前に差し出された一つの手持ち鏡。
その鏡の持ち主は、さっきからくすけんとの仲を気にしていた柚木だった。

つか、不自然って!?

「さ、さんきゅ」
「そのわざと笑おうとしてるのが、不自然に見える」

え、--------
俺が柚木の顔を見ると、その表情は俺の全てを見透かしたような確信的なものだった。

俺は冷や汗を必死に押さえ込んで、鏡を見て口角をあげるのをやめた。

「あ、ついたついた!」

俺が柚木に鏡を返すと、くすけんがすごく嬉しそうな声で叫んだ。

「楠野くんはしゃぎすぎだ」

笑いながらそう言う柚木と一緒に俺たちは、カラオケの扉を潜った。

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俺たちが会計するとこで立ち止まっていると、店員の人が首を傾げて問いかけてきた。

「あら、お友達先に行っちゃったけど、いいの?」

お友達、って........

俺たちは店員の人の指さす先を、目で追う。
その先には、さっきまで一緒にいた柚木がスタスタと歩いていた。

「「え、や、俺たちはっ」」
「あ、そうですね!」
「「は!?」」

俺と大ちゃんが声を揃えて否定していると、それを遮るようにくすけんが言葉を重ねる。

くすけんの声は、俺たちより少し高いからきっと店員の人にそっちを聞かれたんだろう。

「そう、じゃあ3番の部屋に行ってくださいね」

親切に言ってくれた店員の人に、それ以上否定することもなく、俺と大ちゃんは去っていった店員の人を確認すると、同時にくすけんを凝視した。

「「くすけん!何考えてんだよっ」」

その精一杯の怒りの言葉も虚しく、くすけんはへらへらしながら『3』と書かれている部屋の扉のドアノブに手をかけようとしている、柚木を呼び止めた。

「柚木さん、ちょっと手違いがあって.......俺たちも一緒の部屋なんだけど、いい?」

くすけんの言葉少なな発言に、柚木はすごく困惑してたけど、しばらくして頷いた。

「けど、他の子がいいって言うか....」

他の?.......はっ
そうか、友達と来てるんだったな。
一体だれと.....

-----ガチャッ

柚木が開けた扉の先を俺たちは覗いた。


「あっ、りんちゃん!」
「遅かったね、てかちょっと聞いてよっ」
「え、え、どした2人とも!」


扉が開いた瞬間、2人の女子生徒がやんややんやと声をあげて柚木に話しかけている。

「それがっ、ぷーちゃんがあたしの顎にマイク当てたんだよ!」

1人は、背がちっさくていつも教室でもきゃあきゃあ騒いでる、琥陽千仍。

「ちがっ、ちよちゃんがうちのことぷーちゃんとか言うから!」

もう1人は、今までまともなところを見たことがない、いつもおちゃらけてる大嶋林檎。

「ぷーちゃんはぷーちゃんじゃんっ!ドMのぷーちゃんっ」
「誰がドMだっ、また顎当てるぞ!」
「まーま、落ち着いて」

ふざけて言い争う2人を、笑いながら押さえる柚木。

しばらくして落ち着いた2人が、俺たち3人を見て、固まった。

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「え、何?どゆこと?」

沈黙を断ち切ったのは、琥陽だった。
大嶋は、未だに目をぱちぱちさせていてしばらく動きそうにない。

「それがねー、、」

その後、柚木のわかりやすい説明に琥陽は納得して、大嶋もしばらくしてようやく納得した。

案外すんなりとOKをもらえたことに、俺たちは大きくため息をついた。

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つか、なんでくすけんがわざわざ同じ部屋にしたのか、なんとなくわかった気がする。



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